【レビュー、Tips】NIのRaumって無料配布されてたリバーブが凄い&リバーブのオートメーションについて

2020年1月20日

By Hylen

皆さんお疲れ様です。Hylenです。

年も明けてそろそろ一月が経とうとしていますが、皆さんどのようにお過ごしでしょうか。DTMやっていますでしょうか。

今回もDTMの記事となります。

早速ですが皆さんは”リバーブ”はどんなプラグインを使っていますでしょうか?Fruity Reeverb?AbletonのReverb?Valhalla?Lexicon?色々あると思います。

今回はプラグイン界の超大御所のNative Instrumentsさんが配布していたアルゴリズムリバーブプラグイン”Raum”がとても素晴らしかったので紹介させて頂きたいと思います。

1.Raumとは?

Raumとは、公式サイト曰く、

万能型クリエイティブリバーブ、RAUMはアブストラクトなエコーから時空を歪めるようなアンビエンスまで、あらゆるタイプの空間をすばやく簡単に生み出せる空間実験室、ミックスフィクサー、ユーティリティーツールです。操作はシンプルで柔軟。そして何よりも重要なのはサウンドがとても素晴らしいことです。

とのこと。簡単に言うとエコーがついたリバーブですね。Airy,Cosmic,Groundの3つのアルゴリズムがあります。

公式デモはこちら

細かいレビューはSynthsonicさんの記事が分かりやすいです
https://synthsonic.net/archives/native-instruments%E3%80%8Craum%E3%80%8D%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC.html

音の質感やアルゴリズムについては他のブログで散々レビューされているので、個人的に良かった点や使える点を紹介していきたいと思います。

2.Raumの良かった点

2-1.音が非常にクリア

音に関してなのですが、特にAiryとてもソリッドでハイファイな音となっています。同社のSolid Bus Compのようなピュアさがあります。特にAiry。

2-2.とりあえずMixツマミ触るだけでそれっぽくなる

個人的に好ポイントなのが、デフォルトで立ち上げたときにとりあえずMix薄くするだけでそれっぽい音が出てくれるところです。作りこまなくてもいい音が出る、っていうことはそれだけ他のメロディーなどに時間のリソースを割けるということなので。

2-3.LoCut、HiCutがついている、効きがいい

これはメチャメチャ重要です。

特に皆さんがリバーブをかけるのはドラム隊だとスネア、クラップ、シンバルなどだと思うのですが、ローカットがないとぼやけた音が残ってしまいます。

例えばFLのFruity ReeverbにもLoCut、HiCutがついているのですが、かかりが薄いです。それに対してRaumは気持ちいい所をカットしてくれます。最高。HiCutは僕はあまり使いませんがLoCutはとても大事なので注意しましょう。

3.Raumの残念な点

3-1.プリセットのクセが強い

まずリバーブの使用用途として個人的には大きく2つあると思っていて、1つは”奥行きを出して空間に広がりを与える”、もう一つは“発振などを用いて積極的な音作りをする”です。

恐らく9割の方のリバーブの使い方は前者だと思います。薄くリバーブをかけて広がりを持たせる、本来の使い方です。

しかし、Raumのプリセットは後者の音作りに力を入れたプリセットが多いです。SoundToysのCrystalizerのようなグラニュラーディレイっぽい。あとエコーががっつりかかってるプリセットが多いので、かなり使用用途が限られると思います。

ですが、使いこなせれば唯一無二の音を作ることも出来ますので(後述)、ここは玄人向けですね。

3-2.音がクリアすぎて馴染まない時がある

こちらは僕がほぼ絶対使っているValhalla VintageVerbとの比較なのですが、やはり音がハイファイなため、80年代っぽいリバーブやテープ、真空管などの温かみがあるリバーブが欲しいときには向いていません。

言ってしまえば、HipHopやLo-Fi HipHop、Electro SwingなどちょっとDirtyな音が欲しい時にはあまり向いていないと感じました。

3-3.少し重い

Native Instrumentsが商品を配るときあるあるなのですが、結構重いプラグインです。去年のReplikaも結構重かったな…あと僕自身はFL、Abletonで使って気になりませんでしたが、DAWとの相性もあるみたいです。

4.実際にRaumを使ってみて&テクニック紹介

今回実際にFL StudioでRaumを使った動画を作成しました。スネアにかけるのが分かりやすかったため今回はスネアにRaumをかけています。

4-1.Airyモードを薄くかけて奥行きを出す

こちら9秒あたりからの音となっています。ここではRaumを2台使用しています。まず1台目を紹介します。

1台目は薄くリバーブをかけ、奥行きを出します。Mixは7%くらいで、Decayは約5s,そしてLoCutを入れましょう。こちらは-18dbくらいかな?設定はこんな感じです。

4-2.Cosmicモードで発信して鉄感のある音に

最近のDubstep/TrapのSnareの流行として、CymaticsでよくあるようなDnBに近いローが鳴っていないスネアに、フライパンを叩いたような音をまぜたスネアの音があります。例えば、

Skrillexの 1:05~あたりからのドロップのスネアや 、

Zomboyの1:17あたりから始まるドロップのスネアとか。

僕自身もフライパン叩いて録音してOTTかけてレイヤーして~みたいな作り方していたのですが、RaumのCosmicを使うと近い音が作れます。

設定はこんな感じ。

これボーカルとかに刺すとRiddimでよく聞く声ネタに早変わりです、オススメです。

4-3.Mixのオートメーションで”引き”のある残響音を作る

動画の0:17秒あたりからです。Track4の部分にオートメーションが書いてあるのが分かると思います。

EDMやFutureHouse、FutureBassで使われるテクニックとしてスネアやクラップの2回、もしくは4回区切りでPre-Shifted Snare(Clap)を使うものがあります。

Pre-Shiftedとは、単純に音を鳴らすだけでなく、その音をリバースしたものを少し前において言わゆる“引き”の効果を出す目的で使われます。

これによってグルーブ感や空間の流れを作るのは常套句です。今回はこれに加えて、リバーブのかかり具合をオートメーションで書いています。

スネアが鳴った後徐々にMixをあげてゆき、次のスネアが鳴るときにMixを0にする、というのが大まかなやり方です。ここのカーブは好みですが、まっすぐというよりは曲線の方が“波が引き寄せられる感”が出てオススメです。ポイントは、スネアがなった瞬間はMixを絶対0にすること。これがあると一気に音像がぼやけます。

5.まとめ

無料配布期間が終わってしまったため現在は落とせませんが、素晴らしいリバーブだと思います。普通に有料でも買っていいレベル(まだ販売はされていませんが)。

他にもビルドアップの時にMixとローカットのオートメーションを書くなどテクニックはありますがまた後日気が向いたら記事にします。

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