皆さんお疲れ様です。Hylenです。
早速ですがDTMerの皆さんは作曲時どのようなスピーカー、ヘッドホンで作業していますでしょうか。
ちなみに私はスピーカーがKRKのRokit5 G3、ヘッドホンがATH-M50X、Double Zero 001、たまにHD-25です。
今回の考察はずばり”低域”、超低域です。低域でもサブベースや808サンプルなどの”超低域”にフォーカスして考えていきます。
それでは早速行きましょう!
1.日本のMixと海外のMixについて
去年のM3のマスタリングをしている際の話なのですが、マスタリングでどうも迫力が出ない曲が何曲かあり悩んでいたところ、このような記事を見つけました。
この記事では”海外へ行ってみると自分の曲は低域が良くなかった””ビッグなサウンドを目指している”といった記事でした。
またこちらの記事でも、超低域ではないですが低域に関しての言及がされています。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONのGotchさんも下記のようなツイートをしていました。
ローカット禁止。これマジ。50Hz以下こそ、必要だよ。もうロックバンドは録音前からエンジニアに言わないと。もうそういう時代じゃないですって。
— Gotch (@gotch_akg) September 12, 2018
低音に対する考え方を改めないといけない。これは真実というよりも、はっきりと思い知ったことだ。「僕たちは低音を意識している」というであろう人たちでも、欧米の音楽に比べて圧倒的に低音が足りない。というか、足りなさをジャッジする環境を持っていない。ここ半年で知って、戦慄している。
— Gotch (@gotch_akg) February 28, 2018
このように日本でも超低域に対してようやく見直されてきていますが、まだまだ海外の分厚いベースには敵わないと感じる部分が多いです。もちろん、低域を出すのがとてもうまい日本人のクリエイターもいますが、そういう方は海外でも評価されている気がします。
あくまで僕の主観ですが、日本人のMixはとてもコンパクトかつ繊細に作られていると感じます。M/S処理やドラムのそれぞれの粒立ち、帯域分けなど。iPhoneなどで聞いても細かい音まで聞こえるのですごいと思います。僕にはできない。
対して海外は大味な場合が多いですね、超低域ドカーン!リバーブドーン!リードギラギラ!みたいな。分かりやすい音が前に出てくる感じです。
2.なぜ日本のMixは超低域が出ていないのか
2-1.昔の名残
僕が音楽を始めたころにはそういったことはなかったのですが、昔は50hz以下を再生できる機材があまり普及していない、また家庭では鳴らすことが難しいといったことから”50hz以下はモコモコする原因だからカットする”といった風潮があったらしいです。特にバンド界隈などではまだその名残が残っていて、インディーズだとカットされてしまうことがあるようですね。サンレコにもそんなことが書かれていたらしいです。
2-2.超低域が出ない機材が定番化してしまっている
今回主に言いたかったのがコレです。参考として、僕も愛読させて頂いているゆにばすさんのブログから、毎年恒例の使用機材ランキングの記事を見てみましょう。
内訳をみてみると、主にYAMAHA、Fostex、ADAM、IKの4社がトップ10を占めています。
しかしこのランキングTOP10の中で超低域、つまり50hz以下が聞こえるものはADAM A7X( 42Hz ~ 50kHz ) しかありません。かろうじてYAMAHA MSP5とADAM A5Xは50hzから聞こえます。
次にヘッドホンの方を見ていきましょう。
こちらではSONY、AKG、SHUREがメインとなっていますね。
僕自身もこれらのヘッドホンはいくつか所有しておりましたが超低域が見えると思ったのはATH-M50Xと強いて言えばK271くらいでした。楽器のモニターって意味ではSonyも良いのですが作曲、ましてやクラブミュージックでは絶対に使えないと思います…
このようにDTMで定番化しているものが日本は”超低域が出ないもの”になっているのが原因なのではないか、と推測しています。
※サブウーファーがあれば別ですけどね!
3.海外のプロデューサーはどのような機材を使っているのか
では実際に海外のプロデューサー達はどのような機材を使って製作、Mixをしているのでしょうか。
アーティストが使用している機材のまとめサイトとして、equipboardというサイトがあります。とても丁寧にまとめられていて、無限に見れちゃいます。
こちらのStudio Monitor(スピーカー)、HeadphonesをMost Used by Artistsでソートしてみると、日本とだいぶ異なるのが分かると思います。
https://equipboard.com/c/studio-monitors?sort=most-used
まずモニターですが、YAMAHAは定番のようですが、KRK、Dynaudio、ADAMなどが並んでいますね。
特にKRKは海外のダンスミュージックプロデューサーに人気で、Porter RobinsonやSlushii、Mesto、Eliminateなど数多くのアーティストに支持されているのが分かると思います。今やダンスミュージック界のスタンダードといっても過言ではないのでしょうか。
そして何より、人気のスピーカーの殆どが50hz以下が出る、ということが特徴なのではないでしょうか。特にKRKのRokit5は5インチながら45hz、DynaudioのBM5Aは48hzから出ます。
次にヘッドホンです。
https://equipboard.com/c/headphones-in-ear-monitors?sort=most-used
このランキングは”DJ”で使用されているヘッドホンが大多数を占めているので見づらいですが、中を紐解いていくと、圧倒的に開放型より密閉型の方が多いことが分かると思います。
特に人気なのはやはりAudio-TechnicaのATH-M50X。そしてbayerdynamicsのDT770、990ですね。僕も一時期DT770と990を持っていたのですが非常にローが見えて良いヘッドホンでした。壊れちゃったけど。
4.まとめ
超低域が聞こえる機材はスピーカーでもヘッドホンでも、必ず1つは持っておいたほうが良いです。出来ればスピーカー。なぜなら空気の振動をさせた方が低音は分かりやすいし気持ちいいです。
またPt.2では、実際に超低域を出す方法やベースを目立たせる方法、それにおすすめなプラグインなどを紹介していけたらと思います。ヨロ
おまけ:オススメ機材紹介
1.KRK Rokit5
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/269928/
スピーカーはKRKをオススメします。特にRokit5は5インチながらも 45Hz – 40kHz といった帯域が出ます。50以下が出るのは素晴らしいです、個人的にこれあればサブウーファーなくても結構鳴りを確認できます。あと見た目がイイ!
しかも安い。2本で4万切ります。ただ取扱がある楽器店が少ない(というかあるのか)ので試聴できないのが辛いですね。
2.Audio-Technica ATH-M50X
https://www.amazon.co.jp/dp/B00HVLUR86
ヘッドホンは先述の通りATH-M50Xがダントツで超低域が聞こえるのでおすすめです。KzさんやGetter、Barely Alive、Retrovisionなどが使ってるのを見て買いましたがとても気に入っています。特に808ベースを鳴らすときはこいつでよく確認します。
また深夜など音を大きく出せないときにも、ローがしっかり見えるのでとても気に入っています。難点としては低域がかなり味付けされて強めに出るので、長時間つけていると疲れます。